帯状疱疹ワクチンについて
帯状疱疹予防ワクチンについて(50歳以上の方が対象です)
杉並区)帯状疱疹予防接種の費用助成(2023年4月1日より開始)
1)対象者:接種当日に杉並区に住民登録があり、満50歳以上の方
2)助成額など:帯状疱疹ワクチンは2種類あり、接種回数・接種費用が異なります。当院では、有効性の観点から「シングリックス」を採用しています。
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乾燥組換え帯状疱疹ワクチン (販売名:シングリックス) |
接種回数 |
2回(2~6ヶ月の間隔を空けて2回目を接種) |
杉並区の助成額 |
1回あたり10,000円を会計窓口で助成(※助成は2回まで) |
実際の窓口負担額 |
1回:税込12,000円(2回で税込24,000円) 【※助成対象外は、1回あたり税込22,000円】 |
3)備考:予防接種は完全予約制です。お電話か受付窓口でご予約をお取りください。
受診の際は免許証・マイナンバーカード等の住所が確認できる書類を必ず持参ください。
シングリックス(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン)について
種類 |
不活化ワクチン |
有効性 ※2 |
・96.6%:50代 ・97.4%:60代 ・97.9%:70歳以上 ※50歳以上、全体で97.2%(どの年齢でも同程度の効果) |
帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行するリスク軽減 |
・50歳以上:100%軽減 ※2 ・70歳以上:85.5%軽減 ※3 |
効果の持続期間 |
効果の持続 10年、免疫原性 10年 (※一般的に抗原が抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質を免疫原性と呼びます) |
※1:N Engl J Med,352:227-2284,2005 : Harrison’s principles of internalmedicine 19th edition,McGraw-Hill Companies,1183-1186,2015 ※2:国際共同試験ZOSTER-006試験 ※3:国際共同試験ZOSTER-022試験
副反応について「シングリックス」の場合
ワクチン接種後7日間に起こった主な副反応としては、注射部位の痛み78%、赤み38%、腫れ26%という結果になっています。全身性の副反応では筋肉痛40%、疲労39%、頭痛33%、悪寒24%、発熱18%、胃腸症状13%です。これは体の中で強い免疫をつくろうとするためといわれており、2日~3日で多くの副反応は弱くなっていきます。
副反応がでた方は、早めに当院にご相談ください。
接種後の日常生活での注意点
接種部位は清潔に保つ
接種当日は激しい運動は控える
接種部位をこすったりもんだりしない
お風呂は入っていただいてかまいません。
接種後1週間は副反応の出現に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかに当院にご相談下さい。
接種できない方(シングリックスの場合)
基礎疾患や病気の治療等により免疫機能が低下した方においても接種可能です。
このワクチンに特有な接種不適当者はありません。
帯状疱疹とは?
体の片側の一部にピリピリとした痛みがあらわれ、その部分に赤い発疹が出てきます。痛みは徐々に増していき、夜も眠れないほど激しい場合もあります。症状の多くは上半身にあらわれますが、顔や目、頭などにあらわれることもあります。原因は、体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが活動を再開するためです。
子どもの頃に、このウイルスにはじめて感染すると、水ぼうそうになります。水ぼうそうになってブツブツが消えた後も、実はウイルスは脊髄から出る神経節という部位に潜んでることがあります。通常は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。ウイルスは神経に沿って皮膚へ移動し、帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症します。
日本人成人の90%以上は、帯状疱疹の原因となるウイルスが体内に潜んでいて1)、”80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になる”といわれています2)。
1)国立感染症研究所: 病原微生物検出情報(IASR).「水痘抗体保有状況」https://www.niid.go.jp/niid/ja/y-graphs/8132-varicella-yosoku-serum2017.html, 2019年3月13日確認]
2)Shiraki K. et al.: Open Forum Infect Dis. 4(1), ofx007, 2017
帯状疱疹の発症率は50代から急増する
50代、60代、70代と発症率は増加し、帯状疱疹になった患者さん全体のうち、約7割が50歳以上です。(外山望. 日臨皮会誌. 2019; 73(5): 186-189.)性別で帯状疱疹を発症する人数をみると、女性に多いことがわかります。特に高齢で発症すると、顔面に出た場合、顔面神経麻痺を起こすことがありますので、女性の方は注意が必要です。 https://taijouhoushin-yobou.jp/course.htmlより引用
帯状疱疹の合併症 ”帯状疱疹後神経痛(PHN)”
神経が損傷されることで、皮膚の症状が治った後も、痛みが残ることがあり、3か月以上痛みが続くものを帯状疱疹後神経痛(PHN)とよびます。PHNの痛みは、「刺すような痛み」や「焼けるような痛み」と表現され、数年にわたって痛みが改善されないこともあります。50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割がPHNになるといわれています。特に、高齢者ではリスクが高く、PHNにならないためにも帯状疱疹の早期発見・早期治療、またはワクチンでの予防が大切です。